AIによるゲームの逆コンパイルが広がる、保存の追い風と権利の懸念
AIを使って既存ゲームを逆コンパイルする動きが広がっています。古いゲームの保存や移植が容易になる一方、あらゆるソフトのコードが本人の意思と無関係に読み解かれる懸念も出ています。
個人でゲームを開発するPopcar氏が、AIを使ったゲームの逆コンパイル(実行ファイルから人が読めるソースコードを復元する作業)の広がりについて、個人ブログに論考を書きました。AI活用の発信で知られる米国の開発者Simon Willison氏が、良い面と悪い面の両方を捉えた文章として紹介しています。
保存と改造に開かれる道
Popcar氏によると、この流れは二つの動きを生んでいます。一つは既存のゲーム同士を組み合わせた風変わりなマッシュアップです。もう一つはゲーム保存プロジェクトの急増で、古いゲームを新しいハードウェアで動かす試みが相次いでいます。多くはWebAssembly(ブラウザ上でプログラムを高速に動かす技術)を使い、ブラウザで遊べる形にしているそうです。同氏は、移植や改造、機能強化がこれまでより容易になり、触れられる人も増える点を保存にとっての大きな前進と見ています。
どのソフトにも当てはまる懸念
一方で同氏は危うさも指摘します。AIで逆コンパイルできるなら、誰でも他人のソフトを解析して好きに使えてしまい、止める手段がないという懸念です。競合企業のコードの盗用や、有料のゲームやアプリが作者の意思に反してソースを公開される事態も起こりうるとしています。しかも「This isn’t exclusive to old video games」と書くように、対象はレトロゲームに限りません。
もし逆コンパイルが誰にでも手軽な作業になるなら、コードが読まれにくいことを前提にしてきたソフトの守り方は見直しを迫られそうです。保存の恩恵と権利保護の線引きは、ゲームに限らずソフトを作る人全体の課題になると編集部は考えています。
この記事には、専門用語を使わずに書いたやさしい版もあります。
出典: Popcar「AI is mass decompiling games. That’s both awesome and scary.」(個人ブログ)、Simon Willison氏のブログでの紹介